(1)国土交通大臣の挨拶 〜第1回全体会合〜
ただいま、大阪における第14回世界観光機関 総会の議長として選任していただき、誠に光栄に存じます。
私は、この総会が、日本と韓国の共催によって行われることを、大変誇りに思っております。
また、昨日の開会式、そしてウェルカムレセプションにおいて、南宮鎭(ナムグン・ジン)文化観光部長官をはじめ、韓国の方々が示された歓迎のお心づくしや心温まるおもてなしには、改めて深く感謝申し上げます。
ソウルでの総会が、議長をつとめられる南宮鎭(ナムグン・ジン)長官の卓抜した議事進行の下で、熱心な討議が行われ、重要な決定が行われることを確信しております。
私も、大阪における総会でこれを引き継ぎ、21世紀の最初に日本と韓国の共催により開催される総会が素晴らしい成果を結ぶよう精一杯努力いたしますので、よろしくお願いします。
大阪で皆様をお待ちしております。
ありがとうございました。(2)国土交通大臣政務官の演説 〜第3回全体会合〜
記念すべき21世紀最初の世界観光機関の総会において、世界の各国の観光大臣がご列席の中、日本国政府を代表してお話を申し上げる機会をいただきましたことに、感謝を申し上げます。
まず、私は、今月11日に米国を襲ったあの不幸な同時多発テロ事件に関し、その犠牲となられた数多くの方々に対してあらためて哀悼の意を表します。
そして、この体を暖かい血が流れる同じ一人の人間として、いまなお深い悲しみの中におられる方々にお見舞いを申し上げるとともに、これを克服し、破壊から立ち上がろうとされる多くの方々に対し心から支援を申し上げたいと思います。
我が国政府としても、自由で民主的な社会を真っ向から否定し、人間の尊厳をふみにじる、今回のような卑劣なテロ事件が2度と起こることのないよう、世界の関係国とともに、断固たる決意で立ち向かっていく所存であります。
日本の観光政策を担う国土交通省の責任者として、私は今、次のことを思います。
観光は、人々が自分、あるいは自分たちだけの世界に閉じこもることではありません。
観光すなわち人々の交流は、人々が自らのものとは異なる文化や文明に触れる、その感動を求めるものであると考えます。そして、それは、異なる人々や社会に対する謙虚な尊敬の精神と寛大な許容の精神とが基礎になるものであり、そのことは平和な社会の基盤そのものであると考えます。
3つのことを申し上げます。
まず、「観光は、平和のもとで生まれる。」ということであります。
また、「観光は、平和によって発展する。」ということであります。
そして、最後に、「観光は、平和の礎になる。」ということであります。
私は、観光の絶え間ない発展は、世界平和の実現に直結するものであるとの認識にたって、我が国の観光政策を推進してまいりたいと考えます。
そうした中で、今回の世界観光機関の総会が我が国と韓国の共同で開催されるものであるということは、誠に意義深いものであると考えます。
そして、既に、その大きな成果が実を結びつつあると考えます。
昨日、我が国の扇千景国土交通大臣と韓国の南宮鎭(ナムグン・ジン)文化観光部長官が協議を行い、日韓両国間の観光分野における協力関係について、幅広く意見の交換を行いました。
この会談の結果、両大臣は、この第14回世界観光機関総会を皮切りに、来年には「2002年日韓国民交流年」と「2002年サッカーワールドカップ大会」を日韓両国によって共同開催し、これらを契機として、両国間の相互訪問客及び両国への第三国からの訪問客を飛躍的に増大させるため、「東アジア広域観光交流圏構想」を日韓観光当局の緊密な協力の下に推進していくことについて合意しました。
そして、その成果を共同宣言としてとりまとめ世界に向けて発表したことをご報告いたします。
私は、今回の共同声明は、日韓両国の固い絆の証であると考えます。そして、信頼できるパートナーである韓国の方々に対して心から敬意を表する次第であります。
ここで、我が国の観光の現状と課題について、触れたいと思います。
海外を旅する日本人は年々増加し、年間約1800万人、海外で消費する支出は330億ドルに達しております。しかし、これに対して、日本を訪問する外国人の方々は、年間約480万人、観光収入も37億ドルの水準にとどまっております。
このことが、我が国の観光を取り巻く最大の課題であり、この課題を一刻も早く克服しなければならないと考えます。
このため、我が国では、政府、国際観光振興会、そして民間が一丸となって、外国からの観光客の方々がもっと日本を訪れていただくための施策、「ビジット・ジャパン・キャンペーン」を強力に推進してまいります。
折しも、来年の春には、いよいよ新東京国際空港(成田空港)の新しい滑走路がオープンいたします。
我が国としては、2007年までに我が国を訪問する外国人旅行者を800万人に倍増することを目標として、あらゆる施策を講じてまいります。
すなわち、我が国の政府観光機関である国際観光振興会が核となって地方政府、民間の観光産業が戦略的な連携を強化し、外国人旅行者の誘致キャンペーンを強力に進めていくこととしています。
その際には、どうぞ各国政府に皆様にも、絶大なるご協力とご支援をお願い申し上げます。
さらに、国内の観光地の対策として、魅力ある観光ルートの整備、外国語表記による案内表示の改善、国内での宿泊、移動や、入館料などの旅行費用の低減のための施策を進めていきます。
最後になりましたが、この総会にご参加の皆様方には、この機会に、ぜひ我が国の豊かな観光資源に直に接していただき、我が国の魅力を実感していただけますよう、主催国として引き続き大阪での総会でお迎えできることを楽しみにしております。
ありがとうございました。
(3)第1回全体会合 議事要旨
■議題1 議題の採択
議題は事務局提案(文書A/14/1 proj.)のとおり採択された。
■議題2 総会議長・副議長の選出
議長の選出は、これまでの慣例に従い、主催国の代表が務めることとなり、韓国のナムグン・ジン文化観光部長官及び、日本の扇国土交通大臣が選出された。
続いて副議長8名を地理的配分により選出した。総則43条の秘密投票は行わず、事前に各地域委員会で選出したとおり以下の国の首席を副議長に選出した。アフリカ:ギニア、ジンバブエ、アメリカ:ジャマイカ、メキシコ、ヨーロッパ:アルバニア、ハンガリー、中東:ヨルダン、南アジア:ネパール。
■議題3 信任委員会の任命
WTO憲章第13条(1)により、総会の議長が信任委員会の委員を選出し、アンゴラ、ガボン、アルゼンチン、ルーマニア、イスラエル、レバノン、ネパール、韓国の8カ国が選出された。信任委員会は同日午後に会合を開き、信任について協議し、翌日午後までに報告を行うこととなった。(信任委員会は、アンゴラを議長に、ルーマニアを副議長に選出した。)
■議題4 全体委員会委員長の任命
総会は事務局の提案を受理し、全体委員会韓国文化観光部長官 南宮
鎭 他の設立を宣言。フランジアリ事務局長の
指名により、ブラジルの代表が委員長に選出された。
■議題5 WTOへの加盟
最初に、WTO憲章第35条(1)に従い、フィンランドから脱退申請が出されていることの報告が行われ、総会は、フィンランドに脱退申請について再考を促すことを決議した。
次に、WTO憲章第5条(3)に従い、正式加盟国申請の承認が行われた。今回の総会には5ヶ国(アゼルバイジャン、カーボベルデ、ホンジュラス、ユーゴスラビア、バハレーン)が加盟申請を出し、歓呼投票により、全5カ国の加盟が認められた。サウジアラビアからも加盟申請があったが、正式申請ではないので、事務局が手続きを継続することとなった。これにより、正式加盟国は138ヶ国となった。続いて賛助会員の加盟・脱退について協議し、申請のあった全ての団体の加盟・脱退が承認された。
■議題6 事務局長からの報告
フランジアリ事務局長より、1997年5月からの活動報告として9つのプロジェクト、「1つの評価」と題して、以下の報告があった。
●1つの評価
評価については、3つの領域にわたる。1997年当時は104カ国の加盟国と賛助会員があった。今は138カ国の正式加盟国、6つの準加盟員がある。過去10年間にわたり、加盟国・地域は増大して来た。しかし、北欧、北米の復帰については流動的である。理由は、地方行政機関の中央政府からの分離・独立にある。カタールも加盟に近づいている。WTOの影響は東アジア太平洋地域でも増大している。ラテンアメリカ、地中海等の国々が活発なメンバーとなっている。世界銀行との提携、国連のコーディネーターの役割、2001年の世界観光
の日、TSA、世界観光倫理コード、セックスツーリズムへの取り組みも行っている。賛助会員数も10年の間に倍増している。
内部的な管理においては、機関の財政規模が4倍になっている。スペイン、日本、イタリアなどの貢献により入金は6倍になっている。財政状況は、昨年300万ドルが納入され、9月20日までに、滞納金も100万ドル減った。支出は7.81万ドルで、70万ドルの黒字である。総会が同意すれば、この黒字は2002,2003年のプログラム委員会の活動に使いたい。
●9つの主要な挑戦
@TSAを通じた観光の経済的重要性のより深い理解の必要
観光客数はマクロ経済的な把握ができておらず、データをより正確に把握する必要がある。1999年のニース会議でTSAが認められ、2000年にOECDで承認されたことからも、TSAの認知については成功したと言える。観光産業に携わる全ての人がTSAを導入すべきであるが、今後は理論にとどまらず実践が重要であり、そのためには各国で導入される必要がある。2002,2003年の重点項目としたい。
A絶え間なく旅行者が流動することによる観光地やインフラの混雑
1950年には、15の主要な観光地への旅行客が85%であったのが、1975年には75%、2000年には62%に減った。しかし、観光の問題は、それが世界的に成長していることである。旅行者の数が増えたことで、都市や有名観光地への人の集中は依然として継続しており、これが水やエネルギーの過度な消費を招き、幾つかの国では難しい問題となっている。観光景勝地では、資源の保存が課題となっている。学校や仕事の休暇時期の集中といった季節的な問題や、新技術を用いた観光地訪問方法の改善等も課題である。発展途上国では問題が顕著である。将来的な課題として、有形無形な障害を解決すべき。
B持続可能な開発の原則を尊重しつつ、サービス貿易の自由化を推進する必要
観光は新たな地域を開発するが、自由は確保されるべきで、世界観光倫理コードが重要となる。持続可能な開発が必要である。将来の世代が、自然・文化遺産を体験できるようにしなければならない。WTOはその活動の基礎にならなければならない。2001年は世界エコツーリズム年であり、取組みを強化すべき。
C観光の発展による文化的社会的影響を調整する必要
観光開発は文化に影響を与える。観光は全ての人民に恩恵を与え、文化交流を導く。
自由化とグローバライゼーションは持続しなければならない。しかし、自由化の名のもと、資源の過剰な利用が正当化されてはならない。地域の文化継承、雇用確保、児童搾取防止等のため、世界観光倫理コードは重要であり、このコードを世界中に知らしめなければならない。コードは題目にとどまらず、観光産業関係者が活用できるものでなければならない。WTOはコードを7月に国連に提出し、ECOSOC(経済社会理事会)で採択された。これを受け、国連は来年、持続的発展可能な観光(サステナブルツーリズム)についてのサミットを開く予定である。
D国家間の理解と平和の精神の促進に対する観光の貢献の評価
観光は人々の協力関係の構築に貢献する。しかし、観光は平和な諸国にのみ広がる。
児童搾取やテロは観光の妨げとなる。ニューヨークのテロが与えた影響は、多くの人々を悲しみに陥れた。観光客の安全は守らなければならない。より厳しいセキュリティーが必要だが、航空のみならず、自然災害にも備えが必要。金大統領も述べたとおり、観光は訪問者と受入側の交流が必要だが、平和は双方の関わる開発を経なければならない。
E新たな情報伝達技術の導入
ITはサービスへの直接的アクセス及び価格低下を招いている。航空会社はインターネットを通じて座席を販売している。しかし、ついて行けない業者は置き去りにされてしまう。このため、全ての観光関係者が新技術やIT関連機器(デジタルデバイス)の恩恵を受けられるようにすべき。
F観光の貧困への戦いと雇用創出への貢献
貧困の削減は、様々な病気等の問題とも絡み、複雑な問題である。国連は特別機関でこれに取り組んでいる。観光はもっとも多様化した経済活動である故に、貧困国では取組みが遅れている。WTOは国連等と共に、2001年5月に発展途上国の発展に関する会議を行ったが、ここでアシスタンスプログラムの開始が決まり、最貧国への取り組みが始まった。
G官民のバランスの取れた協力の更なる必要
協調の取れた取組みのためには、新技術・新バランスの導入が必要である。欧米では、分散化、NGO拡大等が顕著になっている。WTOが成功の事例を広めるための戦略的官民協力は成功したが、近代化や再構築には官民の更なるパートナーシップが必要である。
H地方分権の進展と観光目的地の効果的な管理
分散化は観光のローカルレベルの取組みにおいて必要である。大都市等への観光客の集中が見られるが、米国やベルギー等は地方分権化のため国としてはWTOを脱退した。ここではパートナーシップが無視されているのが現実である。国家の観光機関は新たなパートナーとよりよく協力すべきである。変化に対しよりオープンになるべきだが、現実は理想的ではなく、根本的な努力強化を行わなければならない。
このために、観光目的地管理組織(DMO)を2002、2003年の取組みとしたい。
(総括)
WTOの取組みにおいては、変化への対応力が問われている。政府と民間のパートナーシップこそが分散化において必要であるが、現在はその岐路にある。選択肢の1つは変化に対応せず、規定を厳格に適応することである。国以外は入れないと言うのなら、WTOが明日にでもなくなるというわけではないが、このままでは縮小する。
これは第三世界諸国のクラブになるという選択であり、防衛的手段ではあるが、望ましくはない。もう1つの選択肢はよりパートナーシップに対して開かれた、規定を広義に解釈するものである。官民協力は1997年、1999年の総会で採択された。
我々は国際組織であり続けるが、民間組織とも協力すべきである。これは、国連の特別機関を目指す中で、今こそ重要な取り組みである。このことについては総会で協議したい。
本日、テロについての影響報告を行う。2001年の成長及び、より長期の成長は、容易ではないにせよ達成されるであろう。この一時的な危機に対する解決策は存在するはずである。全加盟国が危機を乗り越えられることを望む。
(4)第2回全体会合の議事要旨
■議題7
執行理事会から総会への報告
前日、第66回執行理事会が開催かれ、ユーロを予算及び決裁に使用する通貨とすることが決議され、総会もこれを承認した。
■議題8 賛助加盟員委員会(WTOビジネスカウンシル)委員長の報告
WTOビジネスカウンシル(WTOBC)のフェレイロ代表より下記の報告があった。
現在のWTOBCの課題は3つある。インターネットの活用、観光関係者のネットワーク(DMO、観光目的地管理組織の役割)の構築、官民のパートナーシップである。また、新技術の導入はWTOBCにおいて、パートナーシップとともに重要である。
■参加各国代表による演説
WTO事務局次長より提案があり、議題9以降は翌日に持ち越し、各国の観光政策・観光事情に関する演説だけを本日行うことが提案された。
また、この場において、議題6「事務局長からの報告」に関連し、テロに反対するWTO総会の決議案の第1次案(文書A/14
Res. Proj.)が配布され、各国に対し内容に関する検討依頼があった。
演説は、申請のあった順に、韓国、サンマリノ、ケニア、アゼルバイジャン、カメルーン、フィリピン、ドイツ、モロッコ、ギリシャ、タイ、ウクライナ、中国、タンザニア、ホーリー・シー(ヴァチカン)の代表が行った。ギリシャ、中国の代表は、2003年総会の開催地立候補について説明した。
(5)第3回全体会合の議事要旨
■参加各国代表による演説
昨日に引き続き、各国代表による、各国の観光政策・観光事情に関する演説が行われた。
順序は、チュニジア、日本、ユーゴスラビア、セネガル、ギニア、ハンガリー、インドネシア、アンドラ、チェコ、フランス、イスラエル、ネパール、イタリア、マリ、マケドニア、グルジア、カナダ、モルディヴ、カンボジアであった。
日本からは木村隆秀国土交通大臣政務官が演説を行った。
(6)第4回全体会合の議事要旨
■議題16 世界観光倫理コード:実施議定書の承認(文書A/14/16)
冒頭、デイヴィト・デ・ヴィリエ事務局次長より、実施議定書の承認に向けて、まずは「観光倫理に関する世界委員会」(World
Committee on Tourism
Ethics.以下「世界委員会」)の設立の承認を諮りたい旨の発言があった。
日本より、世界観光倫理コードが法的拘束力を持たないことの確認を行ったところ、同次長より、WTOは法的拘束力を各国に持たせる権限は持っておらず、従って本コードには法的拘束性がないことが確認された。また世界委員会についても、世界観光倫理コードの解釈について紛争が生じた際に、調停を行う機能を有するものの、拘束力を持つものではないことが確認された。
スリランカ及びジャマイカは、世界委員会に参加した場合の費用をWTOが負担するよう請求した。副議長より、現状において予算化はされていないが、世界委員会に諮るとの回答があった。WTO法制委員長からは、次期総会に対し、必要であれば予算化の要請を出すべきとの発言があった。事務局次長からは、後発開発途上国については負担できるかもしれないが、地域委員会の予算の枠での検討を求めること、及び、世界委員会は年1回しか招集されず、Eメールなどで情報交換を行うことができるので、それほど経費が掛かるとは思われないものの、方策については引き続き検討するとの発言があったと。
これらの検討の結果、世界委員会の設立は承認された。次の段階として、地域委員会、準加盟員委員会及び執行理事会を通じて世界委員会の委員を選出し、2002年の執行理事会に諮ることとなった。また世界委員会は、紛争調停の仕組についても検討し、次回総会にこれを諮る責務を負うこととなった。
■議題17 世界観光の日にちなんだ「ソウル宣言」
世界観光の日の祝賀会で発表されることとなった。
テロに反対する決議案の採択
第2回全体会合で配布された第1次案(文書A/14/10
Res. Proj.)に、各国から提示された修正を反映した第2次案(文書A/14/10
Res.2 Proj.2)が配布され、各国からの意見の確認を行った結果、若干の修文はあったものの、骨子を変更することなく採択された。この結果、修正を加えた決議案(文書A/14/10
Res.2 Proj.3)は直ちに3ヶ国語(仏・西・露)に翻訳され、総会開催国である日本と韓国両国から国連安保理に提出されることとなった。
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