(1)韓国文化観光部長官の挨拶
金大中大統領閣下、世界観光機関のフランチェスコ・フランジアリ事務局長、世界観光機関加盟国代表の方々、並びに内外からお集まりの皆様、21世紀における世界共同体の発展と共存について新しい未来像を提案しようとする、
この第14回世界観光機関総会を、韓国が共催できますことは、大きな名誉であります。
皆様、
地球村の時代が幕を開けたこの21世紀には、観光産業のもつ経済的重要性が浮かび上がってきています。観光は、経済成長の推進力としての力を認められており、世界の大半の国々は、観光の発展に向けて、その度合いは異なってもそれぞれ努力を重ねてきています。私たちは様々な地理と文化的背景の元で暮らしていますが、今、共通の繁栄を育むために力を合わせるべきではないでしょうか。
観光は、世界平和を推進する手段として、長くその力を発揮してきました。イデオロギー、歴史や文化の異なる国々の多様性に対する理解と尊重を高める上で、観光は重要な役割を果たしてきており、こうした働きによってやがて、国家間の親交関係の回復と協力の時代がやって来るこ
とでしょう。
観光は特に、朝鮮半島に平和を定着させることに貢献してきています。ここ3年以上にわたり、私たちは北朝鮮の金剛山(クムガンサン)で数多くの事業を始めています。こうした事業を実施する過程で、北朝鮮と韓国の間に見られた不安と不信は大きく影を潜め、その一方で、南北間の理解が深まってきています。これは確実に、真の和解とさらなる協力への道を開いているといえます。
観光によって、私たちは資源の重要性に思い至ります。観光がもたらす利益は、特定の世代や地域に集中すべきではありません。私たちは、世代を越えて、また地域を超えて共有の恩恵を分かち合うべく、資源を保ち、賢く利用することで、その持続性を維持していく必要があります。
観光は、情報と技術の発展を促しています。陸路・空路輸送や情報・通信技術の発達によって、観光産業の発展はその速度を増してきましたが、それが今度は、経済成長へとつながっていきます。
ご出席の皆様、
この第14回世界観光機関総会では、これまで申し上げてきた観光がもつ様々な側面について、改めて定義がなされ、それらに活力を与える方向と方法について徹底的に話し合いがおこなわれるでしょう。さらに、国家間の交流と協力の調整も試みられることでしょう。
世界平和を推進し、観光資源の持続可能な開発をおこない、情報技術を開発、共有するために、韓国は主催国として、全力を尽くすことをお約束します。
本日の総会開会のために精一杯努力してこられた世界観光機関職員並びに加盟国の皆様に、厚くお礼を申し上げると共に、全ての参加者を心より歓迎いたします。
今回の韓国滞在が、皆様に楽しい思い出を残してくれますように、そして皆様のご健勝をお祈り申し上げます。
ここに、第14回世界観光機関総会の開会を宣言いたします。
ありがとうございました。(2)世界観光機関(WTO)事務局長の挨拶
大韓民国大統領閣下、文化観光大臣、諸大臣方、高位高官の方々、並びにご出席の皆様、
私たちがここソウルで第14回世界観光機関総会の幕を開け、そして数日後には大阪に場所を移して引き続き討議を行おうとしている理由として、二つの説明が可能です。
まず第一に、国際サッカー連盟関係者は、来年のワールドカップを果たして首尾よく挙行できるかどうか確信を持てないため、そのための態勢を整えて、どのようにすれば韓国と日本が大きな国際行事を上手く共催できるかを示してほしい、と私たちに申し入れました。
第二に、こちらの方がより現状に即したものなのですが、韓国と日本はそれぞれ、主要な国際観光目的地であると同時に、海外へ観光客を送り出す重要な市場でもあります。観光は世界経済と文明の推進力になってきているということ、そしてアジア太平洋は今、世界に向けてその方法を示しつつあるということを、両国とも認識しています。そういうわけで韓国は、2001年を観光年とし、韓国訪問年と名付けたのです。
しかし、観光から得られるのはそれだけではありません。世界観光倫理コードが強調しているように観光は経済活動における確固たる分野であり、またそれ以上のものでもあります。
観光は、人と人との触れ合い、異文化間の理解、地域間の相互発見、そして国家間の平和に著しい貢献をします。
皆様、ここで、9月11日のおぞましい事件に関し、アメリカ合衆国の国民並びに政府に対し、友情と支援のメッセージを送りたいと思います。野蛮な行為に対する恐怖、逆境における連帯、被害者への哀悼の意とそのご家族に対するお悔やみの言葉を、皆様を代表して、表明させていただきます。特に、世界観光機関に加入しているアメリカ合衆国観光業界及び航空輸送業の仲間たちに、深い同情の念をお伝えします。
多くの代表団の方々が、今後こうした感情に共鳴し、彼らの悲しみと憤りを伝えるのにふさわしい言葉を見つけ、いかなる理由もテロ行為を正当化することはできないと強調することでしょう。世界観光産業にとっての新しい前進は、無差別暴力が完全に除去され、全く安全であるという一般的認識が回復して初めて、可能になるのだということを明らかにすることが、特に世界観光機関に課せられた責務であります。
最後に、独断的ではない物の見方をしていただくよう、呼びかけたいと思います。世界のどこにいるいかなる民族も、集団として責められるべきではありません。他人の見解や行為に対する寛容の精神、そして差別をしないこと、これらを呼びかけることは、観光に当てはまります。民族や宗教に関係なく、だれでも自分が選んだどの国でも訪れることができ、またそこの住民から温かく迎えられる、そのようにあるべきです。これは単純なことかもしれませんが、現在のような状況下では改めて思い起こす価値のあることで、それは世界観光機関憲章のまさに核心にある教えであります。
大韓民国大統領閣下、
数ヶ月前、私は貴国政府の招待で、済州平和フォーラムに参加しました。フォーラムでの大統領のご挨拶を拝聴し、韓国が外に向かって開いていこうとする政策について述べられた第3番目の点に特に感銘を受けました。それは、朝鮮半島の再統合をすすめようとする政策で、ご自身のお言葉から引用させていただきますと、「南北朝鮮は、相互和解と協力の基盤に立って平和的共存を維持し、平和的交流を促進すべきであります。」
ここにお集まりの皆様は、こうした考えからうかがえる大統領の勇気を高く評価し、観光による交流がその達成を助けると確信している、と申し上げて差し支えないでしょう。大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国は両国とも、世界観光機関の重要な加盟国です。今回の総会のために私たちがこのソウルに集まっていること自体が、世界観光機関と韓国の間の密接なつながり
の証拠であります。世界観光機関はまた、北朝鮮にも強い活動拠点をもっており、これまで、そして現在もいくつかの開発計画に関わっています。
私たちはトマン川一帯の大がかりな国連開発計画にも関与していますが、これは中国、朝鮮民主主義人民共和国、モンゴル、大韓民国、そしてロシア連邦を結びつける開発計画です。
皆様、世界の他の地域同様、ここでも、観光は予想もしない大躍進を成し遂げたり、一見変わりそうにない様々な状況を変える手助けをすることができます。
韓国の旅行者が北朝鮮を訪れ、懐かしい場所へ再び足を運んだり、残してきた親類たちに再会することができるようになると、ほんの5年前、だれが信じたでしょうか。
中国人が韓国や日本、オーストラリア、ニュージーランドを観光客として旅行することを国が許すようになろうとは、そして次には西洋の国々がそのリストに上がるようになろうとは、3年前、だれが考えたでしょう。
ギリシャとトルコがいつの日か、観光協力の合意に署名し、双方のより大きな利益のために力を合わせるようになろうとは、だれが考えたでしょう。
チェコ共和国、ハンガリー、ポーランド、そしてロシア等の国々が、孤立状態から脱却しヨーロッパ貿易園に参入し、多くの観光客を集める目的地に、また同時に観光客を送り出す重要な市場になろうとは、15年前だれが予想したでしょう。
南アフリカが、平和と対話を実現し、アフリカ大陸随一の観光目的地に、またその隣国に旅行者を送り込む供給源になろうとは、おそらく世界観光機関事務局次長を除いて、だれがあえて予言したことでしょう。事務局次長は、10年前の変革の立役者の一人であります。
西洋からの観光客が大量にキューバに押し寄せ、観光が国の経済の主要部門になるに至ろうとは、そしてアメリカ議会がキューバに課していた出入国禁止を解くことを検討するようになろうとは、だれが想像したでしょう。
イスラエルの観光客が、パレスチナのホテルやレストラン、カジノにまで満ちあふれるようになろうとは、数年前だれが考えたでしょう。しかし、パレスチナで開かれたミレニアム・ウィークの際に、私たちはジェリコとベツレヘムでこれを目の当たりにしました。現在苦々しい紛争が起こってはいますが、彼らがこの地を訪れない日が再び来るとだれが性急に断定するでしょう。
こうしたことこそが、経済発展と平和をはぐくむために観光ができることであり、この世界
観光機関が貢献せねばならないことなのです。今年は文明の対話の年であると国連が表明して
いますが、現状のもとではこの設定は何より当を得たものであるといえましょう。そして、ほ
んの50年前戦争状態にあったこの朝鮮半島で、世界観光機関はその憲章が定める根本目的、
つまり「経済的発展、国際間の理解、平和に寄与するため、観光を発展させること」に忠実で
あることを証明してみせなければなりません。
ご静聴ありがとうございました。
(3)韓国大統領の挨拶
世界観光機関の事務局長フランチェスコ・フランジアリ氏、 世界観光機関加盟国の代表団の方々、並びにご出席の皆様方、
ここ韓国で、そして引き続き日本で開かれます第14回世界観光機関総会の開会を、心よりお祝い申し上げます。これら2ヶ国は、2002年のワールドカップの共催国でありますが、この度韓国にお越しいただき、同胞の韓国人共々、皆様を心から歓迎いたします。
全世界は今、最も深刻な状況に直面しております。私たちは、テロリストによる襲撃が引き起こした悲劇的な死の余波として、戦争の可能性を心配しており、それは不確かな経済状況に対する意識と結びついたものであります。
テロリズムは、世界中の平和を愛する人々の敵であり、だれも犯してはならない最も憎むべき犯罪です。私は人々の生活と安全を脅かすテロリズムを、強く非難し、排除します。私は、テロリズムを撲滅する努力に積極的に加わるつもりです。
今回のテロ襲撃事件を通して、私は、私たちが懸命に突き進んできた南北朝鮮の和解への道が、どれほど貴重で重要なものかを、改めてもう一度認識しました。もし私たちが、南北朝鮮の和解と平和の道を選んでいなかったら、安全の点で最も微妙な地域である朝鮮半島で、私たちの不安感はどれほど大きくなっていたことでしょう。
世界の危機的状況にもかかわらず,
わが国が安定を得て、戦争の危険を最小限にとどめることができているのは、わが国が押し進めてきたサンシャイン政策の結果であると私は信じます。
このサンシャイン政策へのたゆまぬ支援に対し、国内の皆様並びに世界中の友人たちに深く、心からの感謝を申し上げます。
来賓の皆様、昨年6月15日の南北朝鮮サミット以来、ここ朝鮮半島では和解と協力に向けて、目覚ましい変化が起きています。南北朝鮮の関係の進展には一時的な停止があったものの、最近再開した南北朝鮮の閣僚会議によって、二国間の関係には実に大きな前進が見られるようになっています。
世界の優れた観光リーダーたちがこの朝鮮半島に集う、という事実には、きわめて大きな象徴的意味があります。というのも、当地では和解と協力という新しい動きが、次第に広がりつつあるからです。
私は、世界観光機関の今回の総会のテーマ、「新しい観光へ向けて:平和・持続的発展・技術」を全面的に支持します。そして、これに関して、いくつかの事柄を述べたいと思います。
まず、観光というのは単に経済的観念ではなく、相互理解と世界平和の促進に貢献するという意味で、全人類にとって大きな価値があるということです。
私たちは、国家、イデオロギー、宗教、そして民族の間の激しい衝突で、致命的な犠牲を払わなければなりませんでした。こうした衝突には、前世紀における二度の世界大戦が含まれます。
過去の歴史から苦い教訓を得て、世界は今、相互理解と平和への道を目指して、積極的に進んで行くときなのです。この目標を達成する上で、観光は最も効果的で幅広い影響をもつ手段となるでしょう。
21世紀の観光は、世界中の親善と友好関係をさらに深め、異質の社会や文化間の相互理解と交流を促し、そうすることで共存と世界平和に貢献することを目的に、発達していかなければなりません。
その最も典型的な例は、金剛山(クムガンサン)観光交流計画でしょう。3年前に始まったこの観光交流計画は、南北朝鮮の交流と協力をもたらす上で中心的役割を果たしたということを、もう一度皆様の前で申し上げておきたいと思います。
さらに、金剛山(クムガンサン)陸路観光等の計画の促進や南北朝鮮を結ぶ鉄道の建設、これらは両方最近再び合意されましたが、こうした動きは観光分野における交流を含め、二国間の交流を活性化させることでしょう。
観光を通じた南北朝鮮間の交流は、朝鮮半島に永続的平和をもたらすとともに、東アジア、さらには世界全体に平和を促進する上で、大きく貢献するであろうと私は確信しています。
観光産業をさらに発達させようという皆様方の誠実な尽力は、究極的に世界平和に役立ちます。
皆様方の努力に対し、深い尊敬と感謝の意を表したいと思います。
次に、持続可能な観光開発の実現に向けて、世界の観光資源を賢い方法で運営・保護していく必要があります。自然、文化、歴史などの観光資源は、ある国家だけが所有するのではありません。こうした資源は、我々の次の世代の資産であると同時に、全人類の資産でもあります。
私たちは、こうした世界の貴重な観光資源を賢く利用し、保護する責任があります。私たちは今、次世代の安全と繁栄を保証する持続可能な観光開発の原則をうち立て、これをしっかり守っていく努力をしなければならないのです。
第3に申し上げたいのは、観光産業を育成し人類の繁栄を獲得するために、全ての国々は、観光に関連する分野で、知識、情報、技術、並びに人的資源を分かち合い、交流させる努力をすべきだということです。
21世紀は、知識と情報の時代です。知識、情報、そして技術は、あらゆる分野で競争力の中心的資質になりつつあります。こうした要素を取り入れるとき、観光は未来の産業になることができます。
従って、世界の全ての国が、観光に関する知識、情報、そして技術を分かち合い、共に開発していくことが必要なのです。人的資源を訓練し、交流させる際には、協力も大いに求められます。
この国際化時代に世界の全ての国々が情報、技術そして人的資源を分かち合い、共に利用すれば、それは私たち全てにより大きな利益をもたらすことでしょう。
皆様、皆様もよくご存知の通り、世界最大の観光行事の一つであるサッカー2002年ワールドカップが、来年ここ韓国で開かれます。この2002年ワールドカップを通して、新世紀における観光の姿を具体的に示すべく、わが国政府は最善を尽くします。
韓国の情報技術を駆使して、来年のワールドカップを電子ワールドカップにするよう、また世界の最も近代的な科学と科学技術を相互に交流させる機会を提供するよう、努力するつもりです。
と同時に、韓国の伝統文化を世界に紹介し、それぞれの国の文化がバランスよく共存する会場作りに力を尽くします。ワールドカップが世界の和解と調和を支援し、世界平和に貢献するように働きかける所存です。皆様方からの惜しみない関心と励ましを、よろしくお願いいたします。
代表団の方々、並びにご臨席の皆様、この世界観光総会が世界の旅行者の交流を促進する一助となり、そしてまたより広い意味では、新しい世紀に向けて進歩的な観光政策を提供する意義深い行事として、皆様の心に残ることを心から望んでいます。
特に、9月27日の世界観光の日に発表される「平和と観光に関するソウル宣言」は、観光を通して、世界平和と人類共通の繁栄をさらに促進しようとする意識を呼び起こす、重要な手段となることを期待しています。
この度の総会の大きな成功と、全ての加盟国の繁栄と、そして代表団の皆様の健康をお祈り申し上げます。
ご静聴ありがとうございました。
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