2001年の国際観光客数は失速
       (世界観光機関(WTO)速報/到着ベース、2002年1月29日)

 WTOは2001年の国際観光客数の速報値を発表したが、米国におけるテロ事件および世界経済の停滞により、全世界の旅行者数は6億8900万人となり、2000年の6億9700万人に比べて▲1.3%の減少となる見込み。9月11日のテロ事件は世界の全地域に悪影響を及ぼしたが、それ以前の8ヶ月も経済停滞の影響により、主要需要創出国のドイツ、日本、米国の出発需要が伸び悩んでいた。また、前年の2000年はミレニアム関連のイベントも多く異例の7%の伸びとなったため、2001年の需要を先取りしたとも考えられる。
 1月〜8月の全世界の需要の伸びは前年同期比で3%の伸びであったが、過去10年間の平均年間伸び率の4.3%を1ポイント以上下回っている。
 それに加えてテロ以降の4ヶ月には全世界の需要は前年同期比▲11%の落ち込みとなった。同時期の各地域別では、アフリカ=▲3.5%、北中南米=▲24%、東アジア太平洋=▲10%、ヨーロッパ=▲6%、中近東=▲30%、南アジア=▲24%と全て落ち込んでいる。
 10月と11月は深刻な状況であったが、12月にはやや回復傾向が見られた。また、海外旅行の取りやめ分は国内旅行に振り返られており、これは観光に対する需要は根強いものであることを示している。
 航空による旅行は鉄道、車により代替され、遠距離よりも近場でなじみのある安全と思われる目的地が好まれた。例えばフランスでは11月の国内線の航空旅客は▲15%となったが、逆に鉄道旅客は9%の増となった。また、各国の地方の観光地、スキー場、キャンプ場、民宿などが潤った。
 その他の悪いファクターとしては、英国、アイルランド、オランダにおける口蹄疫病の発生、ドル高による米国向け需要の減少、パレスチナ問題、アルゼンチンの経済危機などが挙げられる。
 過去20年で観光が振るわなかった年は1982年(米国経済低迷、フォークランド紛争、中
東紛争)の需要減少・▲0.4%、および湾岸戦争のあった1991年の需要低迷・1.2%があった。

アフリカ
通年では全域で3%増。北アフリカのチュニジア、モロッコは8月までは、それぞれ10%、 8%の伸びを示したが、通年では6%、3%となった。南アは欧米からの長距離旅客に依存し
ているためにテロの悪影響があり、11月までで▲2%となった。

北中南米
全域で▲7%。ブラジル、アルゼンチン、日本の経済低迷の影響は既に前半に出ていた。
また米国経済の反落の影響も出ている。米国の出入需要は双方ともテロの影響が大きく出ている。米国への到着需要は▲13%減少し、米国よりの需要に依存している各国も軒並みマイナスとなっている。

東アジア太平洋
全域では4%の伸びとなっている。しかしながら9月以前にはこれの約2倍の伸びとなっていた。通年で、中国=6%、香港=5%、マレーシア=23%、タイ=4%などが伸びている。地域の需要の17%を占める日本人需要の低迷で(出発ベースで▲4%〜▲6%)、グァム=▲10%、インドネシア=▲4%、韓国=▲3%、オーストラリア=▲3%と軒並み落ち込んでいる。

ヨーロッパ
全域で▲0.7%の減。英国は▲6.6%(11月まで)であったが、地中海、南欧は好調であった。トルコ=12%、クロアチア=12%、スロベニア=11%、キプロス=1%、スペイン=3.4%、ブルガリア=14%、エストニア=9%、スロバキア=13%

中近東

テロ事件以前はドバイ、ヨルダンの健闘で、全域で0.3%のプラスであったが、テロの悪影響を受け、通年で▲9%。エジプト=▲15.6%、ヨルダン=4%

南アジア
全域で▲6%。9月〜12月は▲24%。ネパール=▲22%、スリランカ=▲16%。モルジブは前半で9%と健闘したが、通年では1%。